個人薬局が基本料を+5点する連携強化加算を取る方法

はじめに

2024年の調剤報酬改定で、地域医療における連携強化、特に感染・災害発生時に対応できる体制を備えた薬局を評価する目的とした「連携強化加算」が新設されました。この加算は以前からあったのですが、以前は「地域支援体制加算の届出が必要」という条件があったため、かなりハードルの高いものになっていました。

しかし、2024年からは、その条件も外れて、医療機関や介護施設と連携して地域の医療・介護を支える薬局に評価を与える制度となって生まれ変わりました。

本記事では、個人経営・小規模薬局が連携強化加算を取るために必要な条件や方法について詳しく解説します。

1.2024年調剤報酬改定の連携強化加算とは

連携強化加算は、災害や新興感染症の発生時等においても薬局が継続して地域の医薬品供給や衛生管理に関する対応等を維持できる体制を用意して、地域の医療・介護を支える薬局に、調剤報酬基本料に5点加算される制度です。

まぁ、要は

新型コロナの流行や地震や津波などの災害発生時でも、店舗を閉めないで地域医療に貢献するための体制や準備をしている薬局に対して、その努力に報いるために+5点するよ

ってことです。

なので、それなりに準備しておくことはたくさんありますが、どれも難しいことではありません。

2.連携強化加算の算定条件

連携強化加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 都道府県知事より第⼆種協定指定医療機関の指定を受けていること
  2. 感染症対応に係る当該保険薬局の保険薬剤師に対する研修、訓練を年1回以上実施
  3. 個⼈防護具を備蓄
  4. 新型インフルエンザ等感染症等の発⽣時等において、要指導医薬品及び⼀般⽤医薬品の提供、感染症に係る体外診断⽤医薬品(検査キット)の提供、マスク等の感染症対応に必要な衛⽣材料等の提供ができる体制を新型インフルエンザ等感染症等の発⽣等がないときから整備し、これらを提供している
  5. ⾃治体からの要請に応じて、避難所・救護所等における医薬品の供給⼜は調剤所の設置に係る⼈員派遣等の協⼒等を⾏う体制が整備
  6. 災害対応に係る当該保険薬局の保険薬剤師に対する研修、訓練を年1回以上実施
  7. 災害や新興感染症発⽣時における薬局の体制や対応について、それぞれの状況に応じた⼿順書等の作成
  8. 情報通信機器を⽤いた服薬指導を⾏う体制が整備されている
  9. 要指導医薬品及び⼀般⽤医薬品の販売、検査キット(体外診断⽤医薬品)の取扱い

要件が多そうに見えますが、1項の第⼆種協定指定医療機関の指定を受けると、3項・4項・5項はクリアしているようなものなので、手順書の作成や年1回の訓練などをクリアすればいいことになります。

3.連携強化加算を取るためのハードルとは

上記のように、連携強化加算を算定するためには、多くの要件が必要となりますが、この中でも今困難になっているのが、「第⼆種協定指定医療機関の指定」です。

この第⼆種協定指定医療機関の指定は、都道府県によって募集の仕方が違いますので、詳細は地域の管轄の保健所などに問い合わせて欲しいのですが、例えば、東京の場合は東京都のホームページから申し込みができます。
千葉県の場合は、事前協議という形でメールが送られてきて、それに同意した薬局が申請できることになります。

地域によっては、募集を一時中断しているところもあるようですので、連携強化加算を取りたい薬局は準備を急ぐ必要があります。

4.個人経営・小規模薬局が連携強化加算を取る方法

個人経営・小規模薬局が連携強化加算を取るためには、どうしたらいいでしょうか。
大きく3つのハードルがあります。

  • 第2種協定指定医療機関の指定を受ける

個人薬局の場合、何のことかよく分かっていないけど、感染症発生時に地域の人たちに薬を届ければいいんだな程度の認識で協定に同意したところもあるかもしれません。
特に、千葉県のようにメールで打診が来て協定締結まで済んでしまうようなやり方の場合、個人薬局のオーナーも地域のために貢献しようという思いから、協定を結んだところもあるかもしれません。

全国での協定締結薬局の数が約2.7万軒を目標としているようなので、それをオーバーするような場合は申し込みが打ち切られる可能性もあります。

そのため、なるべく早く行動して協定締結まで進めておく必要があります。

  • 情報通信機器を用いた服薬指導を行う体制を整備

つまり、オンライン服薬指導を行える体制を用意するということです。

これを用意するということは、セキュリティに関する整備もすることになるので「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に添って準備しなければなりません。

つまり、オンライン服薬指導+セキュリティチェックシートの対応をすることになります。

さらに、オンライン服薬指導を行う場合は、お金の受け取り方も考えておく必要があります。
オンラインで投薬するわけですから、支払方法についても検討しておく必要がありますが、これも最近ではオンライン決済の方法もスマホ決済など多くのやり方があるので、あなたの調剤薬局に合わせた方法を考えないといけません。

  • 要指導医薬品・一般用医薬品・検査キットの取り扱い

地域支援体制加算の要件にもあるので、同様に健康サポート薬局の要件にもある48薬効群を用意する必要があるかもしれません。
「かもしれません」と言ったのは明確な資料を見つけられていないからです。

ですが、48薬効群だとしても、基本料が+5点になるのですから、その分のコストは余裕でペイできるかもしれません。

と、これらのハードルがクリアに向けて立ちはだかっていますが、越えられない壁ではありません。
例えば、オンライン資格確認を行っている薬局では、セキュリティへの対応も比較的スムーズにできる場合があります。

しかし、連携強化加算の算定要件は複雑であり、薬局の個別具体的な状況に合わせて判断する必要があります。
ITに詳しい専門家に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。

5.まとめ

連携強化加算は、地域医療における薬剤師の役割を強化し、薬局経営の安定化にもつながる重要な制度です。

しかし、算定要件を満たすためには、当然ハードルもありますが、個別の薬局の状況によっては、少ない労力で越えられることもあります。

個人経営・小規模薬局の場合は、これらの要件を満たすことが難しいと感じるケースも少なくありません。

そのような場合には、薬局開設センター千葉のようなITに詳しい行政書士に相談することをおすすめします。

薬局開設センター千葉では、連携強化加算の算定に関する知識ITに関する知識を活かし、薬局の個別具体的な状況に合わせた最適なアドバイスを提供します。

連携強化加算の取得をご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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