医薬品の買取?
先日、医療用医薬品の買取サービスのチラシを見せていただきました。
で、あれ?って思ったことが。
未開封医薬品の返品事情
薬局によって、スタンスは違いますが、患者さんが来局した際に、次回来局のためにあらかじめ発注して薬を用意しておくことがあります。
このメリットとしては
- 患者を待たせることなく、スムーズに渡せる
- 在庫不足による後日渡しの手間や管理が省ける
- 薬が無いことを心配しなくて済む
というのがありますが、デメリットとして
- 患者が来局しなかったときは、不動在庫になる
- 薬が変わってしまったときも、不動在庫になる
特に、他の患者さんにも調剤しているような薬であれば問題ないのですが、その患者さんのために用意したような薬だと、その後は使われないことになってしまうので、ちょっと考えないといけません。
未開封であれば、返品できるかな?と仕入れた卸業者にお願いすることもありますが、最近は返品を受け付ける条件も厳しくなって、なかなか返品できないことが多くなってきました。
買取業者
最近では、不動在庫になっている医薬品を買い取って、他の薬局に販売するという買取業者が増えてきました。
シート単位で売り買いをしてくれるので、助かっている薬局も多いかと思います。
また、共同購入や電子お薬手帳・処方箋受付システムなどのおまけとして、買取機能を用意しているところもあります。
それでも、買い取れる商品と買い取れない商品があるので、廃棄する医薬品が出てきてしまうのは仕方のないことなのですが、少しでも不動在庫を減らして現金化できるのはいいことです。
で。
チラシの件ですが。
医薬品の新規仕入れ先として薬局を探していますってうたい文句で取引先を探しているようです。
この時
未開封なら返品すればいいんじゃね?
と思ったのが、今回の記事のネタです。
Geminiに聞いてみた
実際どうなのかなーと思って、時々使っているGoogleのAIサービスであるGeminiに聞いてみたところ
医療用医薬品の返品は、原則として不可能ではありませんが、非常に限定的であり、様々な制約や条件が伴います。そのため、「未開封医薬品であれば、調剤薬局が仕入れた卸業者に返品すればいい」と単純に考えることはできません。
以下に、医薬品の返品に関する現状と課題を説明します。
医薬品返品の現状と課題
- 原則は返品不可
- 医薬品の流通契約において、**原則として「返品不可」**としているケースがほとんどです。これは、医薬品の品質保証と安全確保が最優先されるためです。
- 一度薬局に納品された医薬品は、その薬局の管理下に入ります。その期間中の保管状況(温度、湿度、光など)によっては品質が劣化する可能性があり、卸売業者としては、品質が保証できない医薬品を回収し、他の医療機関に販売することを避ける傾向にあります。
- 返品が可能なケース(限定的) 以下のような特定の場合に限り、卸売業者への返品が認められることがあります。
- 製薬会社都合の回収・出荷調整: 製薬会社が自主回収を指示した場合や、メーカーの生産都合により一時的に市場から引き上げる場合など。
- 誤配・数量間違い: 卸売業者側のミスによる誤った医薬品の納品や、注文数量との相違があった場合。
- 破損: 納品時に既に医薬品の容器や包装が破損していた場合。
- 使用期限切れが近い場合(限定的): 卸売業者によっては、特定の期間(例:使用期限まで6ヶ月以内)を切った未使用品について、相談に応じるケースもありますが、これは卸業者や医薬品の種類によって対応が大きく異なります。高額な医薬品や特殊な医薬品に限られることが多いです。
- 薬価改定時の対応: 薬価改定に伴い、一定期間内に限り、薬価差損を補填するために返品を認めるケースが過去にはありましたが、近年ではその対応も限定的になっています。
- 返品に伴うコストと手間
- たとえ返品が認められても、薬局側には返品手続きの手間や、返品に伴う手数料が発生することがあります。
- 卸売業者にとっても、返品された医薬品の検品、品質確認、再流通の手間、および廃棄コストなどが発生するため、可能な限り返品は避けたいのが実情です。
- 不動在庫の発生要因
- 処方内容の変更、患者さんの来局中止、急な病状変化、医師の処方習慣の変化など、薬局側では予測しにくい要因で、使用期限内に消化しきれない医薬品(不動在庫)が発生することがあります。
- 特に、高額医薬品や特定の疾患にのみ使用される医薬品、あるいはロット単位でしか購入できない医薬品などは、不動在庫になると薬局にとって大きな負担となります。
なぜ二次流通のビジネスモデルが重要になるのか
上記のような返品の難しさがあるため、不動在庫となってしまった医薬品を「適正に」有効活用する手段として、医薬品卸売販売業許可を持つ企業が間に入る二次流通のビジネスモデルが有効になります。
- 卸業者側の受け入れ体制: 薬局が個別に卸業者に返品を打診するよりも、専門の卸売販売業者が買い取り、品質管理を徹底した上で再販売する方が、全体として効率的でリスクを抑えられます。
- 買取価格の明確化: 返品が難しい医薬品でも、二次流通であればある程度の価格で買い取ってもらえるため、薬局の経済的損失を軽減できます。
- 品質保証の担保: 医薬品卸売販売業者は、医薬品の保管・管理に関する専門知識と設備を持っているため、二次流通においても品質が適切に維持されることが期待できます。これにより、買い手側の薬局も安心して医薬品を仕入れることができます。
結論として、未開封医薬品であっても、調剤薬局が仕入れた卸業者に自由に返品できるわけではありません。そのため、薬局の不動在庫の課題を解決し、医薬品の有効活用と安定供給を促進する上で、医薬品卸売販売業者が介在する二次流通のビジネスモデルは、非常に意義深いものと考えられます。
ということらしい。
ほうほう。そうなんだね。
まとめ
患者さんが来なくなるというケースは往々にしてあるので、廃棄する医薬品が2桁万円になるケースも見受けられます。
そうなる前に買取サービスを使うかどうかは、その薬局長の考え方次第だと思いますが、場合によっては必要なこともありそうです。
ただ、条件などは各社によって違いがあるので、比較検討する必要はありますね。

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