薬局経営とボランタリーチェーン

ボランタリーチェーンって知ってますか?

あなたの薬局にも電話や営業さんが来るかもしれませんが、良くある話は「共同購入」ってヤツです。
仕入れを一本化することで大量仕入れの値引きメリットを受けられますという話。

あなたも聞いたことありませんか?

どんな話?

うちの会社と契約すると一括購入による高い値引き率で仕入れることができますよ。
でも、卸さんとの関係は今まで通りで、仕入れ価格の交渉だけをこちらが行います。
それに伴って、月会費などが発生しますけど。

というような話です。

こういった会社はいくつかあるので、すべての会社が同じような内容なのかは分かりませんが、私が知っている範囲では大体そんな感じです。

卸さんとの関係は今まで通りだし、支払いも卸さん、納入も卸さん。
単に価格交渉だけをやります。
って感じなんですよ。

さらに、これ以外にもいろいろな付加サービスがあって、体制強化のコンサルとか電子お薬手帳の導入とか、それぞれの会社によって様々なサービスを持っていたりします。

ボランタリーチェーンとは?

ボランタリーチェーンというのは

独立小売店が同じ目的を持った仲間達と組織化し、チェーンオペレーションを展開している団体をいいます。
ボランタリーチェーン(VC)には、フランチャイズチェーン(FC)と同様に加盟店を指導するチェーン本部が存在しますが、加盟店が主体となっているため、加盟店同士の横のつながりがある(相互助成が可能である)のが特徴です。

日本ボランタリーチェーン協会のHPより

というもの。

要は、薬局がたくさん集まって、1つの団体を作り、その団体として価格交渉を行うということ。
そのまとめ役として、営業をかけてきた会社があるという感じです。

加入する?しない?

お手伝いしている薬局でも検討したことがあるんです。

で。
結果的に言うと、加入しませんでした。

加入を検討するには、「いったい仕入れ価格は、いくら安くなるのか?」というところを見ないといけませんよね。
そのためには、医薬品の納入データ(レセコンなどで管理している購入医薬品の数量や価格など)を相手に渡して、試算してもらいます。

まず、この試算のために渡すデータが正確でないと、正しい予測ができません。
某社のレセコンでは、仕入伝票の仕入れ価格ではなく、マスターに登録されている仕入れ価格を使って購入医薬品の価格を集計します。
そのため、マスターに登録されている価格から改定されていた場合に、マスターを更新していないでいると、実際の購入価格とは違った結果になってしまうのです。

きちんと更新しろよって話ですが、1000を超える医薬品のデータを改定の度ごとに更新していくのは大変な作業です。
ボランタリーチェーンに参加しようなどと思わなければ、そんな必要は無いのですから、やらない薬局があっても不思議ではありません。

さらに、卸さんとの関係は今まで通りとは言いますが、実際には違います。

卸さんに、どこそこのボランタリーチェーンに参加するよって伝えなければいけないのですが、そうすると「本社に伝えて検討します」ってことになります。
この「検討」というのは、今までの「自分の薬局の取引口座」から「ボランタリーチェーンに参加している自分の薬局の取引口座」に変わることになり、取引口座の開設依頼ということになるので、「取引相手として問題ないか」という検討になるそうです。

で。
必ずしもOKが出るとは限らなくて、ボランタリーチェーンの中には結構強引な交渉をしたりするところもあるらしく、卸さん的には良い印象をもっているところは、あまりないんじゃないかな。

当然ですが、口座開設できなければ、ボランタリーチェーンを通した取引が出来ませんので、ボランタリーチェーンにも参加できない・しても仕方ないということになります。

こうした自分たちの要因と外部の要因を総合的に考えて、参加・不参加を決める必要があります。

薬局経営にメリットはあるか?

ボランタリーチェーンへの参加は、コストメリットという点ではあるかもしれません。
ただ、もし、ある卸さんからある医薬品については特別な価格設定をしてもらっているという場合には、ボランタリーチェーンを通すと逆に値上がってしまう可能性もあります。
めったに出ない薬の価格が下がっても、いつも出る薬の価格が上がってしまっては意味無いです。

まぁ、向こうはそんなことないよって試算を持ってきますけど。

卸さんとの関係も同じように、影響が無いとは言いますが、お手伝いした薬局では全ての卸さんが嫌がりました。
もちろん、卸さんにとっては売り上げ・利益が減ってしまうというのもあるとは思います。
そういう状態で、参加したとしても、今まで通りとは思えません。

ですが、コストのメリットやその他の付属サービスが魅力的な場合は、参加を目指すのもいいかもしれませんね。

まとめ

薬局経営をしていると、一括購入や共同購入などの話は毎年のようにくると思います。

そうした話を全く無視するのは、経営戦略的に不適切かもしれませんので、話を聞いて状況を知っておくというのはいいことと思います。

ですが、参加するかどうかは、慎重な判断が必要になるでしょう。

ちなみに、私はボランタリーチェーンに反対しているわけではないことだけはお伝えしておきます。
メリットが大きく上回るのであれば、参加するのもいいと思っていますから。

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