調剤薬局とインボイス

最近話題になっているインボイス制度。
詳しい内容は国税庁のホームページで確認していただきたいのですが、調剤薬局の運営には影響があるのでしょうか?

消費税とインボイスについて、簡単に

例えば、OTCを本体価格1,000円で仕入れた場合、仕入れ価格は税込みで1,100円になります。
それを税込み2,200円で販売した場合の消費税は

売った時の消費税(200円)ー仕入れた時の消費税(100円)=100円 ← 税務署に払う消費税額

というようになります。
消費税は、お客さんから貰いますが、その消費税を丸々税務署に払うわけでは無く、仕入れたり製造したりしたときに相手から請求された消費税分を引いた金額を税務署に納めます。

で。
実際に税務署に税務署に消費税を支払うかというと、必ずしもそういうわけではなく、課税事業者という人・会社だけが税務署に納めることになっています。
課税事業者以外の人・会社(=免税事業者)は、消費税を納める必要がありません。

この辺りが、「ちょっとずるくない?」ということで、インボイス制度が始まるわけです。

では、インボイス制度が始まるとどうなるかというと、上であげた引き算が出来なくなります。

売った時の消費税(200円)ーインボイス登録されていない業者から仕入れた時の消費税(100円)=200円 ← 税務署に払う消費税額

もちろん、インボイス登録した業者から仕入れた場合は、最初の式のように引き算ができます。

つまり

  • 消費税は、仕入れと販売で相殺できる
  • ただし、相殺できるのは、インボイス登録をした業者から仕入れた場合

ということです。

何が問題なのか

では、世間では何を騒いでいるかというと

自分の会社が小売りを行っているA社に商品を納めている場合、A社からしたら、仕入先であるあなたの会社がインボイス登録をしていれば、消費税の相殺ができますが、インボイス登録をしていない場合は相殺ができません。

つまり、A社から見ると、相殺できない場合は消費税を余計に払わなければならないことになるわkです。

A社からすると嫌ですよね。
なので、仕入先であるあなたの会社には「インボイス登録をするか、しないのであれば消費税分価格を下げてくれ」と言ってくる可能性があるわけです。

インボイスを登録すると、課税事業者と扱われるようになりますので、もし今が免税事業者だったとしたら、払わなくて良かった消費税を支払わなければならなくなります。
インボイス登録をしないとすると、A社からは値引きを要求されて売り上げが落ちます。

あなたからすると、A社との取引を続けるのであれば、インボイス登録をして消費税を納めるか、インボイス登録はしないで値引き要請に対応するかの経営判断を要求されることになります。
いずれにしろ、手元に残るお金は少なくなるかもしれません

調剤薬局では

基本的に調剤薬局では、処方箋により医薬品を販売します。
そして、処方箋による医薬品の販売は、非課税なので消費税と関係ありません。

さらに、調剤薬局の場合、患者さん(一般消費者)が相手ですから、どこかの仕入れ先と言うわけでは無いので、消費税の相殺に関しても関係ありません。

つまり、調剤薬局では、インボイスはあまり気にしなくてもいいということです。

ただし。
あなたの調剤薬局が、課税事業者であったり、OTCなどの処方箋による販売以外の売り上げが大きいとか別なサービスを行っていて、そちらの売り上げが大きいような場合には、インボイス登録をしたほうがプラスなことがあります。

具体的に、自分の薬局でインボイス登録が必要かどうかは、顧問の税理士などに確認したほうがいいでしょう。

ただ、調剤専門に近い調剤薬局では、インボイスは不要といえるかと思います。

まとめ

処方箋による販売なので、ほぼ非課税売り上げである調剤薬局では、インボイスはあまり関係ないと言えます。
ただ、今後は制度が変わることもありますので、仕組みくらいは知っておいてもいいかもしれませんね。

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